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- SPAD ToF方式距離センサー IMX560
概要
Time of Flight(ToF)方式距離センサーは、レーザーやLEDといった発光源からの光を対象物に照射し、その反射光をセンサーで検出するまでの時間差を利用して対象物までの距離を測定します。SPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素は、入射した1つの光子(フォトン)から、雪崩のように電子を増幅させる「アバランシェ増倍」を利用する画素構造を持ち、弱い光でも検出できることが特長です。SPAD ToF方式距離センサー(以下、SPAD距離センサー)は、SPAD方式の受光素子を用いて光の飛行時間を検出することで、長距離かつ高精度な距離測定を可能にしました。
この高精度な小型センサーは、遠距離まで広範囲の距離情報を取得でき、AGV(Automatic Guided Vehicle/無人搬送車)やAMR(Autonomous Mobile Robot/自律移動ロボット)における人やモノの検知に適しています。また、ノイズに強いため、スマートインフラや3Dマッピングなど屋外アプリケーションへの活用も期待されています。
特長
長距離の3D測定が可能
SPAD距離センサーは、光子が当たると電子を雪崩増倍させる仕組みを持っており、検出した光子を増幅して強力な信号に変換します。これにより、遠方から戻ってきた微弱な光信号も精度高く検出できます。数十メートル以上先まで測定可能であるため、Indirect ToF方式(iToF)と比べると広範囲の3D状況を把握することができます。広範囲にモノの検知が必要とされるケース、たとえば行く手に障害物がないか検知しながら自律走行するAGV/AMR、人の立ち入りリスクを事前に判断したいセーフティライトカーテンなどに活用することが可能です。
高い解像度
SPAD距離センサーは、チップ上にTime-to-Digital変換器を搭載しているため、デジタル出力が可能です。積層構造を採用し、Time-to-Digital変換器を多数並列配置することで、同時に多くの点を測距でき、高い解像度を実現しました。これにより、物体の認識精度が向上します。
マルチパスに強い測距方式
正確な距離測定のためには、カメラの光源から出て被写体で一度だけ反射してセンサーに到達する信号に対して、意図しない経路で反射して戻る信号を極力除くことが重要です。特に部屋の隅のような凹んだ形状では、意図しない経路の信号光が発生しやすく、測定値がずれてしまう場合があります。SPAD ToFの測距方式は、対象物までの距離を複数回測定し、取得した各点の測定結果を統計的に処理します。そのため、高精度かつ低ノイズのデータを安定的に取得でき、コーナーでも歪みなく測定することが可能です。これにより、測定の信頼性が向上し、さまざまな用途での精度確保が期待できます。
小型でシステム化しやすい
CMOSイメージセンサー開発で培ってきた独自の画素技術を活用し、SPAD画素と測距処理回路を1チップ化することで、小型ながら高解像度を実現しました。これにより、LiDARの構造をシンプルにすることが可能です。また、省電力や小型化・小回りが求められるシーンに適しており、1チップ化によってLiDARのコスト削減にも貢献します。
技術
ソニーのSPAD ToF方式距離センサーは、裏面照射型のSPAD画素を用いた画素チップ(上部)と、測距処理回路などを搭載したロジックチップ(下部)を、Cu-Cu接続を用いて積層し、一画素ごとに導通しています。画素部の下に回路部を配置することで、開口率※を確保しながらも、SPADとしては微細な10μm角の画素サイズを実現しています。加えて、画素に以下の工夫を施しています。
・光の入射面に凹凸を設け、入射光を回折させることによる吸収率の向上
・画素内のアバランシェ領域の設計を最適化することにより、増倍現象を効率的に発生
これら独自の画素構造により、遠方にある反射率の低い対象物でも、高い解像度と距離分解能で検知することができます。また、画素ごとにCu-Cu接続した積層構造により、読み出し速度を高めています。遠距離から近距離までを高精度かつ高速に測距することが可能になり、検知・認識性能の向上及びシステム全体の消費電力削減に貢献します。
※ 画素当たりの光入射面側からみた開口部分(遮光部以外)の割合。開口部分が広いほど検出効率が高まる。
また、センサー内のロジックチップに独自の信号処理機能を内蔵することで、SPAD画素から取得したRAW情報を距離情報に変換し、出力するところまでをセンサー内で実現します。これにより、後段処理の負荷を軽減させることができ、システム全体の開発を簡易化することが可能です。
この製品群に搭載されているToFの技術情報はこちらです。
スペック
製品名 | IMX560-AAMV |
---|---|
画素 | SPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素 |
イメージサイズ | 対角6.25 mm(1/2.9型) |
有効画素数 | 597(H)× 168(V)約10万SPAD画素 |
ユニットセルサイズ | 10.08 µm(H)× 10.08 µm(V) |
エレメントサイズ | 3(H)× 3(V)SPAD画素 (i.e. 199(H)× 56(V)エレメント) |
フレームレート (最大) | 100 frame/s*1 |
推奨光源波長 | 850 nm, 905 nm, 940 nm etc. |
光子検出効率 | 24% (905 nm) |
サンプリング周波数 | 1 GHz / 0.5 GHz |
出力インターフェース | MIPI CSI-2 (4 lane / 2 lane) |
読み出しモード | ラインモード / アレイモード*2 |
パッケージ | 152-pin BGA 15.35 mm(H)× 15.65 mm(V) |
製品概要PDF | IMX560-AAMV |
* 数値は予告なく変更する場合があります。
*1 フレームレートとサンプリング数がトレードオフです。
サンプリング数を増やすと、精度が向上する一方、最大フレームレートは低くなります。
*2 アレイモード: 1Dアドレス可能(ローリング)
活用事例
ToF方式距離画像センサーの活用事例はこちらです。
資料ダウンロード
IMX560-AAMV 製品概要
製品の概要や特長、仕様をまとめた資料です。
ToFイメージセンサー搭載カメラリスト
ソニーのToF方式距離画像センサーが搭載されたカメラの一覧はこちらからダウンロードできます。
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