2層トランジスタ画素のメインビジュアル
技 術
モバイル用イメージセンサー

2層トランジスタ画素

概要

2層トランジスタ画素は、従来同一基板上で形成していたフォトダイオードと画素トランジスタの層を別々の基板に形成し、積層する、世界で初めて*1開発 に成功した画素構造です。これにより、従来比約2倍*2の飽和信号量*3を達成し、ダイナミックレンジの拡大とノイズ低減を実現します。 この構造を採用することで、画素サイズが小さくても撮像特性を大幅に向上させることが可能となります。

*1) 2021年12月16日広報発表時点。
*2) 当社の従来型裏面照射型CMOSイメージセンサーと、本技術適用時における、
1μm角換算した場合の比較。2021年12月16日広報発表時点。
*3) 1つの画素が蓄積できる電子の最大値。

2層トランジスタ画素構造 イメージ動画

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技術解説

フォトダイオードと画素トランジスタの層を分離し積層

2層トランジスタ画素は、裏面照射型画素が形成された画素チップと信号処理回路が形成されたロジックチップとを重ね合わせた積層型CMOSイメージセンサーをさらに進化させた技術です。SSSが持つ積層技術を用い、従来は画素チップ上で形成していた、光を電気信号に変換するフォトダイオードと、信号を制御する画素トランジスタの層を別々の基板に形成し積層しています。

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フォトダイオードの容量とアンプトランジスタサイズの拡大

フォトダイオードと画素トランジスタの層を分離し積層したことにより、フォトダイオードの容量拡大および従来比約2倍*2の飽和信号量*3を実現しました。結果的に、撮影ができる明暗差の範囲を示すダイナミックレンジの拡大を可能にします。

また、転送ゲート(TRG)以外のリセットトランジスタ(RST)、セレクトトランジスタ(SEL)、アンプトランジスタ(AMP)などの画素トランジスタをフォトダイオードの無い別の層に形成したことで、アンプトランジスタのサイズ拡大を実現。これにより、夜景などの暗所撮影時に発生しやすいノイズを大幅に低減させることに成功しました。

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明暗差が大きいシーンでも肉眼の見え方に近い撮影を実現

一眼レフなどに比べサイズが小さいモバイル用イメージセンサーは、取り込む光の量に限界があるため、撮影できる明るさの範囲が狭まります。たとえば明暗差が大きい逆光のシーンを撮影すると、明るい部分は白飛びし、暗い部分は黒つぶれするなど、肉眼の見え方と異なる結果になってしまいます。
本技術は、従来比約2倍*2の飽和信号量の実現により、撮影ができる明暗差の範囲であるダイナミックレンジの拡大に成功。これにより、イメージセンサーのサイズを大きくしなくても、逆光などのシーンでも白飛びや黒つぶれを抑えて肉眼で見ているものに近い写真撮影を可能にします。

従来の積層型CMOSイメージセンサーのシミュレーション画像(SDR)

従来の積層型CMOSイメージセンサーの
シミュレーション画像(SDR)

2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサーのシミュレーション画像(HDR)

2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサーの
シミュレーション画像(HDR)

室内や夜景などの暗いシーンでもノイズの少ない撮影を実現

夜景や暗い部屋などの暗所を明るく写そうとすると、ザラザラとした粒のようなノイズが発生することがあります。
本技術では、アンプトランジスタのサイズ拡大により、暗所撮影時に発生しやすいノイズを大幅に低減させることに成功。イメージセンサーのサイズを大きくしなくても、室内や夜景などの暗いシーンでもノイズの少ない高画質な撮影を可能にします。

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