概要
近年、スマートフォンのカメラ性能に対する要求水準が高まっており、それによりスマートフォン向けイメージセンサーの高画質化が加速しています。そのトレンドのひとつが、個々の画素サイズを小さくし、より多くの画素を並べることで画像解像度の向上を実現する多画素化です。しかし、画素の微細化は、感度が下がるというトレードオフの関係にあります。
そこでソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)は、画素を小さくしても感度の低下を最小限に抑えるQuad Bayer Codingという画素配列を開発しました。特にセンサーサイズが小さいスマートフォン向けイメージセンサーに最適化された技術となります。
技術解説
高感度と高解像度を両立
隣接4画素が同色のカラーフィルターであるQuad Bayer配列は、高感度と高解像度の両立を実現します。たとえば夜景など低照度下での撮影時には、解像度の劣化を防ぎ、ノイズを低減させます。
Quad Bayer Coding とは
たとえば夜景など低照度下での撮影時には、隣接する4画素の信号を加算し1画素を4倍相当に拡大します。隣接画素を加算することで解像度劣化を防ぎ、加算をアナログ領域で行うことでノイズ低減も実現します。これにより、低照度下の撮影でも感度を高め、低ノイズで明るい写真や動画の撮影が可能となります。一方、日中の屋外など、明るい場所での撮影時には、高度な配列変換処理(リモザイク)で通常のBayer配列に戻し、Bayer配列のイメージセンサー同等の解像度を確保することができます。
なお、配列変換処理(リモザイク)は、通常はソフトウェア処理で行われていますが、SSSは独自の技術として、配列変換回路をイメージセンサーチップに搭載してリモザイクに対応。配列変換処理をハードウェアに委ねることで低消費電力化とリアルタイム処理が可能になり、動画撮影モードでもこれらの特長が活かせます。
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