概要

OLEDマイクロディスプレイの活用分野を拡大するために最も望まれているのがさらなる高輝度化です。特にARグラス用途では外光下での視認性が要求されることから、ディスプレイの高輝度化が強く望まれています。もちろんその他の用途においても高輝度化技術は有用でありOLEDの長寿命化、低消費電力化に貢献できる重要な技術として期待されています。

こうしたニーズに対してソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)は、マイクロレンズを画素内に形成する独自技術によって従来比2.2倍の発光効率向上を実現しました。またマイクロレンズを通過する光線がより平行光線化されることにより、カラーフィルター間のクロストークが減少し、視野角特性が改善するというメリットも生まれます。

技術解説

マイクロレンズ導入による発光効率向上

下図のように画素内のOCCF(On Chip Color Filter)上にマイクロレンズを配置することで、OLED発光層からの正面方向の光の取り出し効率を従来比2.2倍にまで高めました。ARグラスなどの高輝度が必要なアプリケーションでは原理上、より平行光線化された出射光線が望まれるため発光プロファイルとしても有利です。また本技術は、高輝度が必須条件でないアプリケーションにおいても消費電力削減と長寿命化への貢献が可能となります。

断面構造の比較図
断面構造の比較図
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発光プロファイルの比較図
発光プロファイルの比較図
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マイクロレンズ導入による視野角特性向上

マイクロレンズから取り出した光は、より平行光となることから正面方向にピークを持つプロファイルとなります。このプロファイルはARグラスなどの偏光光学系や導光板光学系にとって優位な特性です。また同時にこのプロファイルは隣接カラーフィルター間との干渉を最小化することにも貢献し、右図のように視野角改善効果も生み出します。斜め方向から見ても3刺激値の乖離が少なく、色付きを抑える効果があります。

■参考文献
Youske Motoyama 他 DISTINGUISHED PAPERS, BEST OF DISPLAY WEEK2019
High‐efficiency OLED microdisplay with microlens array

三刺激値の視野角特性の図
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三刺激値の視野角特性の図

約8年間で最大輝度を10倍にまで向上

SSSはマイクロレンズ導入による輝度向上以外にも、発光効率改善の施策を継続的に導入しており、下図に示すように最大発光輝度を段階的に向上させてきました。今後もOLEDマイクロディスプレイの活用事例を広げるために輝度向上に取り組んでいきます。

当社OLEDマイクロディスプレイの高輝度化達成の軌跡の図
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当社OLEDマイクロディスプレイの高輝度化達成の軌跡の図

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