概要

短波長赤外(SWIR/Short-Wavelength InfraRed)領域の光を用いて「見えない」を「見える化」する検査・計測・観察が広がっています。

IMX992/IMX993はソニー独自のSenSWIR™(センスワイア)技術をさらに進化させて搭載した高解像度・高性能SWIRイメージセンサーです。3.45μmの微細画素により小型ながらも高い解像度を実現しています。また、環境に適したモード選択によりノイズを低減し、微細な対象を鮮明に映し出します。さらに、デジタル出力を採用することで高い機能性を持ち、SLVSとMIPIの両方のインターフェースに対応しているため、カメラの設計が容易で部品選定の柔軟性に優れています。

この高性能なSWIRイメージセンサーは、産業分野における検査・識別・計測などの高度かつ多様なニーズに応え、生産性の向上に寄与します。

特長

業界最高解像度*1 約532万画素で実現する高精細なSWIRイメージング

IMX992は約532万画素、IMX993は約321万画素とSWIRイメージセンサーとして業界最高*1の解像度を有しています。独自技術SenSWIRを進化させて新開発したセルサイズ3.45μmの微細画素により、この高解像度を実現しました。500万画素クラスの解像度、およびセルサイズ3.45μmは、Cマウントサイズの一般的なグローバルシャッター方式イメージセンサーで広く普及している仕様であり、産業用のSWIRイメージセンサーとして初めて同等のスペックを達成しました。
高解像度撮影により、微細な撮影対象も鮮明に映し出し、SWIR帯域の光を使った各種検査や計測の精度を大幅に向上させます。また、同等の解像度であれば、撮像エリアを拡大できるため、より広範囲を一度に撮影することによる効率化が期待できます。

*1) 化合物半導体のInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)を用いた産業用のSWIRイメージセンサーにおいて、ソニー調べ(2023年11月現在)

解像度の違いによるSWIR撮影画像の比較
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解像度の違いによるSWIR撮影画像の比較
一般的な産業用イメージセンターとの比較
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一般的な産業用イメージセンターとの比較

同等の解像度に加え、遠方のビル群をより鮮明に映し出しています。SWIR撮影では、空気中の微粒子の影響をうけにくいためです。

関連する分野:遠方・広域観察

環境の明暗に左右されずノイズの少ない撮影を

用途に応じて選択できる撮影モードを搭載しています。最適なモードを選択することにより、環境の明暗に左右されず、ノイズの少ない高品質な画像を取得できます。科学計測や屋外観察、その他の低照度環境での画質が重視されるアプリケーションにおいて、その力を発揮します。

High Conversion Gain(HCG)モードとLow Conversion Gain(LCG)モード

HCGモードは、光が電気信号に変換された直後のまだノイズが少ない段階で信号を増幅することにより、その後に発生するノイズを相対的に小さくしています。これにより、暗い撮影環境でも低ノイズな画像を取得でき、認識精度の向上につながります。
ダイナミックレンジを重視する明るい条件ではLCGモードに切り替えることが可能です。 

Dual Read Rolling Shutter(DRRS)

さらにノイズを抑えた撮影ができるDRRS機能を搭載しています。この機能は、ノイズを約1/4に低減した画像を取得できます。
DRRSがオンの場合、イメージセンサーからはペアとなる2種類の画像*2が交互に出力されます。一つは、映像信号+ノイズ成分を含んだ画像、もう一つはノイズ成分のみの画像です。この2種類の画像をカメラ側で合成することにより、ノイズ成分を大幅に除去した画像を得ることができます。

*2) 映像信号が含まれているのは2種類の画像のうち片方のみのため、画像間で動体の輪郭がぶれる現象(アーティファクト)は発生しません。

これら機能により、3.45μmの微細画素にも関わらず、非常に低ノイズな画像を取得することが可能です。

ノイズの比較
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ノイズの比較

MIPI対応によりカメラ設計の柔軟性が向上

SWIRイメージセンサーはアナログ出力が一般的でしたが、ソニーのSWIRイメージセンサーはデジタル出力に対応し、産業用CMOSイメージセンサーと同等の機能性を有しています。また、アナログ出力の場合、カメラ側でデジタル変換回路や産業機器に適した機能の実装が必要でしたが、ソニーのSWIRイメージセンサーはこれらの機能を製品内に搭載しています。これは、カメラ側の開発工数削減や、カメラの多機能化に貢献します。
さらに、IMX992/IMX993は、産業用カメラでは一般的なSLVSのインターフェースに加えMIPIにも対応し、カメラ設計や部品選定の柔軟性が向上しています。

可視光からSWIRまで、どの帯域でも高感度の撮像が可能

ソニーのSWIRイメージセンサーは、可視光からSWIR(400nm-1700nm)までの幅広い波長帯域を1つのセンサーで撮影できます。これにより、可視光用とSWIR用の複数台のカメラで行っていた検査を1 台のカメラに集約でき、システムコストの低減や、画像処理の高速化によるスループットの向上が期待できます。
IMX992/IMX993は、ソニーのSWIRイメージセンサーの特徴である高感度性能が強化されており、可視光からNIRにかけての感度が向上しています。その結果、可視光からSWIRまでの広い波長帯域で均一な感度特性を実現しています。波長を切り替えた際の画質差が最小限に抑えられ、より信頼性の高い認識が可能となります。

技術

短波長赤外イメージセンサー技術SenSWIR

この製品群に搭載されているSenSWIRの技術情報はこちらです。

スペック

型名 IMX992-AABA-C IMX992-AABJ-C IMX993-AABA-C IMX993-AABJ-C
イメージサイズ 対角11.4 mm(1/1.4型) 対角8.9mm(1/1.8型)
有効画素数 2592(H)× 2056(V)
約532万画素
2080(H)× 1544(V)
約321万画素
ユニットセルサイズ 3.45 μm(H)× 3.45 μm(V)
オプティカルブラック 水平方向 前96画素、後0画素
垂直方向 前24画素、後0画素
フレームレート (最大)
全画素読出し
8bit 130 fps (TBD) 170 fps (TBD)
10bit 120 fps (TBD) 150 fps (TBD)
12bit 70 fps (TBD) 90 fps (TBD)
入力駆動周波数 37.125 MHz / 74.25 MHz / 54 MHz
電源電圧 1.2 V、1.8 V、2.2 V、3.3 V
2.2 V (画素)
シャッターモード グローバルシャッター (DRRSオンの場合はローリングシャッター *5)
出力インターフェース SLVS(2 ch / 4 ch / 8 ch)/ MIPI(2 lane / 4 lane)
パッケージ 電子冷却素子 あり なし あり なし
サイズ 30.0 mm(H)×
30.0 mm(V)
21.0 mm(H)×
20.0 mm(V)
30.0 mm(H)×
30.0 mm(V)
21.0 mm(H)×
20.0 mm(V)
感度*1,*2 TBD
飽和信号量*1 TBD
量子効率*1,*3 TBD
Operability*1,*4 TBD
PDF PDF IMX990, IMX991, IMX992, IMX993 製品概要

*1) Tj=15℃
*2) F8、1/30秒蓄積
*3) λ=1200 nm
*4) Operabilityは、欠陥のない画素の割合を表します。
*5) DRRSオンの場合、フレームレート(最大)は、上記表の数値と異なります。
TBD) 開発中のため、未確定

活用事例

SWIRイメージセンサーの活用事例はこちらです。

資料ダウンロード

IMX990/IMX991/IMX992/IMX993 製品概要

製品の概要や特長、仕様をまとめた資料です。

SenSWIR技術搭載イメージセンサーのご紹介

SenSWIR技術搭載イメージセンサーのイメージ画像

このSWIRイメージセンサーに搭載されている技術の詳細をご紹介します。

SWIRカメラの撮影プロセスと、マルチスペクトル画像の作成方法(食品検査編)​

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