LILIN社 プライバシーに配慮した見守りカメラ
ToFセンサーの利用

病院や介護施設では、テクノロジーの活用が進んでいます。たとえば、センシング技術を用いた健康管理、ICT（情報通信技術）技術を活用した遠隔医療やコミュニケーション支援、エンターテイメント提供など、多様な分野でさまざまな技術が導入されています。これらの技術は、施設利用者のQOL（Quality of life）の向上や、そこで働くスタッフの業務負担軽減にも貢献しています。ここでは、実際に介護施設で活用されているTime of Flight方式距離画像センサー（以下、ToFセンサー）について紹介します。

多くの施設では、複数の入居者を、限られた人数の施設職員が24時間体制で見守り、ケアをしています。そのような現場では、見守りのために、各居室や廊下などにセキュリティカメラを設置することで、タブレットやPCなどを通じて、一括して（リアルタイムで）入居者の状況を確認することができます。一方で、カメラによる見守りには、対象者へのプライバシーの侵害が懸念されます。特に高齢者は、カメラでの撮影に抵抗を感じて自由に行動できなくなったり、ストレスを感じたりすることがあります。

LILIN社は一般的な画像センサーではなく、ToFセンサーを見守りカメラに搭載することで、入居者のプライバシーの問題を解決しています。ToFセンサーは被写体の距離情報を取得し、人物の姿勢や動きをとらえますが、プライバシーに関わる映像（たとえば、人物の顔や表情が分かるような映像）は撮影されず、人物はシルエット画像で表示できます。画像情報と比較して、被写体との距離から得られる情報を用いると、人物の位置、姿勢や動作をより正確に把握できます。距離情報とAIを組み合わせることで、入居者の状態をリアルタイムでモニタリングすることが可能です。たとえば、入居者が態勢を変えたときや、ベッドからの離床など、危険予兆行動を自動で検知し、緊急性を判断することができます。加えて、ToFセンサーは、カメラが発する赤外光の反射光を受光して距離を測るため、夜間や就寝時などの暗い環境でも安定した検知が可能です。
これらのToFセンサーの利点に着目し、LILIN社では、距離情報のデータとAIを組み合わせ、プライバシーに配慮しながらも予期せぬ事故や異常を事前に検知し、未然に防ぐソリューションを提供しています。
実際に介護施設や病院にて検証したところ、入居者の異常を早期に発見し、ベッドから転落する事故を約40%削減できました。これにより、入居者の安全が確保されるとともに、見守り業務の負担も軽減され 、医療スタッフのケアの効率が30％以上改善したという検証結果となりました。

LILIN社が提供するこちらのカメラには、ソニーのToFセンサーIMX570（1/4.5型 約30万画素）を用いたoToBrite社のカメラモジュールが搭載されています。このセンサーは、高感度かつ低ノイズの裏面照射型の構造で、配線層の多層化等による高速な画素技術を用いています。集光効率の向上と測距のための高速な処理を可能にしたことで、正確かつ安定的な高い測距性能を実現しました。
LILIN社は、見守りカメラの商品化に際し、他社製品と比較して、ソニーのToFセンサーの高精度でバラつきの少ない測距性能を評価し、このセンサーを採用しました。
LILIN社がめざす、介護を受ける人々の生活の質と安全性の向上の実現に、当社の技術が貢献しています。