ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は、1/3型レンズに対応したグローバルシャッター方式として業界最高解像度^※1となる有効約320万画素^※2の積層型CMOSイメージセンサー『IMX900』を産業用に商品化します。

 本製品は、独自の画素構造の採用により、集光効率および近赤外線に対する感度を従来品から大きく向上させ、産業用イメージセンサーとして求められる主要特性を維持しながら画素の微細化を可能にしました。これにより、小型産業用カメラや組込みビジョン用カメラとして広く普及しているSマウント（M12）に収まる1/3.1型のグローバルシャッター方式において、業界最高解像度^※1となる有効約320万画素を実現しました。

物流市場におけるコードリーディング用途や製造ライン自動化にむけたロボットピッキング用途をはじめとした、産業領域における作業や製造工程の自動化及び効率化など、産業課題の解決に貢献します。

 ※1: 1/3型レンズに対応した産業用グローバルシャッター方式を採用するCMOSイメージセンサーとして（2023年10月19日時点）。
※2: イメージセンサーの有効画素規定方法に基づく。

あらゆる業界において自動化、省人化のニーズが高まる中、当社独自のグローバルシャッター技術Pregius S^TMは、小型ながら高速・高精度で動体歪みのない撮像により、画像認識技術の向上に貢献しています。本製品は、Pregius Sをベースに新たに開発した独自の画素構造を採用し、従来フォトダイオードと同一基板上で配置されていたメモリー部^※3を、別の信号処理回路領域に移動しました。これによりフォトダイオード領域を拡大することが可能となり、高い飽和信号量を維持しながら画素の微細化（2.25㎛）が可能となり、1/3.1型において有効約320万画素の多画素化に成功しました。

また、メモリー部を信号処理回路領域に移動したことで、画素の開口率が上がり、斜入射特性^※4とあわせて量子効率を大きく向上させることに成功しました。これは、搭載カメラにおけるレンズ設計の自由度を高めることに貢献します。加えてフォトダイオード領域を厚膜化する事で近赤外領域（850nm）の感度を高め、従来比^※5で約2倍となる量子効率を実現しました。

1/3.1型の小型な本製品は、産業用途として広く汎用的に使われるSマウント（M12）に収まるパッケージサイズを実現しています。物流市場におけるバーコード認識用小型カメラや製造ラインのロボットピッキング用カメラ、搬送作業を人に代わって行うAGV（無人搬送装置）／AMR（自動搬送ロボット）など、搭載製品の小型化と高性能化が期待されるさまざまな用途で活用できます。

※3：　一時的に信号を蓄積するためのメモリー。
※4：　角度を付けてイメージセンサーの画素に入射した光に対する集光特性。
※5：　当社の1/2.9型 有効約158万画素CMOSイメージセンサー『IMX296』との比較。

＜主な特長＞

■1/3型レンズに対応したグローバルシャッター方式として業界最高解像度^※1となる有効約320万画素

■斜入射特性の大幅な向上によりレンズ設計自由度の向上

■近赤外領域において従来比^※5約2倍の量子効率を実現

■後段の画像処理に伴う負荷を軽減する利便性の高いオンチップ機能を搭載
高速に最適な露光時間を算出、設定可能な“Fast Auto Exposure”（自動露光制御）機能や4画素単位で複数の露光時間を設定することでダイナミックレンジを拡張させる“Quad HDR（ハイダイナミックレンジ）”機能など、後段の画像処理に伴う負荷を軽減、および認識精度を向上させるための各種機能を搭載しています。搭載カメラの設計効率化やコスト削減、認識精度の向上に貢献します。

■毎秒113フレーム^※6の高速撮像

※6：　10bit出力時。

詳細については、以下のサイトをご覧ください。

IMX900製品ページ：　https://www.sony-semicon.com/ja/products/is/industry/gs/imx900.html
グローバルシャッター技術：　https://www.sony-semicon.com/ja/technology/industry/pregius.html

※ Pregius / Pregius Sおよびそれらのロゴは、ソニーグループ（株）またはその関連会社の登録商標または商標です。